2004.1.26 日刊建設工業新聞新潟版HPより 転記
損害賠償請求額は約9億円に、跨道橋は瑕疵担保請求へ/朱鷺メッセ事故で新潟県(2004/01/26)
新潟県港湾空港局は朱鷺メッセ連絡デッキ落下事故に伴う損害賠償請求を急ぐ方針。残存デッキ区間を含めデッキ全体を対象とし、請求額は約9億円にのぼる見込み。訴訟も視野に全額を請求する考えで、2月県議会にも損害賠償請求関係議案を提案する。
武藤港湾空港局長が26日示した。
調査報告書では、事故原因について、既報の通り、PCa床版の斜材ロッド定着部の破壊が起点とし、設計耐力の不足のほか、補助配筋やジャッキダウン時の影響などを指摘した。
これをうけて県では、「主因は構造設計の不備にあり、補助筋の不手際やジャッキダウンの影響がそれを早めたとの認識だ」とし、過失が認定された関係業者に損害賠償を請求するため、弁護団と詰めている状況。損害賠償請求には議会の同意が必要なため、2月議会での関係議案提出に努める方針。
対象範囲は、落下した延長3mの当該工区のほか、崩壊で床版の亀裂や支柱の変形などダメージを受けた連絡デッキ延長220m全体とする。
このため、当該工区の設計・監理・施工者のほか、隣接する工区の関係者も過失検討の対象とする。
同局では、調査委の勧告を踏まえ、デッキ全体を建て替える計画で、これに必要な費用と応急復旧対策関係費用及び残存デッキの撤去費用が含まれる。
具体的には精査中だが、建て替えに相当するデッキ3工区の当初の請け負う工事費約6億円と残存デッキの解体費約1億円、これに落下事故の伴う復旧対策費が含まれ、総額9億円になる。
復旧対策費には、事故発生後の落下部材の撤去と保管のための民間倉庫の借り上げ費、さらに支柱の設置など応急対策工事費が含まれる。
応急対策工事費は、支柱の補強のためのジャッキだけで、同様の構造である臨港道路1号線の2箇所の跨道橋に関する補強費を含め、事故発生の8月26日以降、1号線p月末までで約5400万円にのぼる。
また、同跨道橋に関しては、請け負う契約上の瑕疵担保期間内であることから、県財務規則及び78条に基づき修補請求権を行使する。民法では、損害賠償請求も出きることっとなっているが、同請求権を適用する。ただ、県支給の材料や指示が原因の場合は請求権は発生せず、また被請求者である施工者が、県の瑕疵と立証すれば修補を免れる。
残存デッキ部分と同様、落下していないだけに、施工者に請求するのは奇異に映るが、1次的に請負者に請求する仕組み。請け負う者が、設計上の瑕疵とすれば設計者に請求できることになる。
デッキ落下事故は、損害賠償という新たな段階にはいるが、調査報告書の提起しているとおり、県の責任も免れない。とくに、重要構造物に適用される計画通知制度の履行に際し、構造計算書も不在のまま安全確認を怠たり建築確認を申請したことが、損害賠償請求後に予想される訴訟で、発注者及び施設設置者としての県の責任問題に発展する可能性が高い。また、工事と設計が並行する状況を看過したこと、設計及び監理を構造計算などの履行能力のない設計事務所に丸投げしたことーなど、関係職員が専従で5人という事業体制を含め、少なくない。
PC床版製造業者は「製造過程はすべて記録しており、まだ県に示していない資料もたくさんある。仮に鉄筋が無くても落下しないのがPCだ。原因は上弦材の鉄骨の損傷にある」としており、調査報告書及び県の見解とまっこいうから対立する見方を示している。構造設計者のSDGも、第1回ジャッキダウンの不手際における上弦材の損傷による崩壊ーと見ており、再三公開質問状を提出している。
いずれも主要な当事者だ。損害賠償請求後、どう事態が展開するか、また調査報告書が証拠として採用されるかを含め、予断を許さない情勢だ。
◆武藤・新潟県港湾空港局長の話ー全額を請求する
県は基本的に被害者の認識だ。過失の認定を受けて、損害額の全額を請求することになる。民法719条の共同不法行為が根拠で、一定の期間をおいて、応諾しなければ提訴となるが、県としては出きるだけ円満に和解し、早期の復旧を図りたい。長引いた場合を想定し、04年度当初予算案に残存デッキの補強対策工事費を要求した。